株式会社東京レーベル代表の小栗と申します。創業5期目に入りました弊社でございますが、現在進行形の案件を含め、累計で30棟以上の「東京23区」×「土地から新築一棟マンションを建てる」プロジェクトに携わってきました。
東京23区で新築一棟を建てて、本当に収支が成り立つのか?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと存じますが、この投資手法はポイントをしっかり押さえれば、高い利回りを実現させることができると自信を持っております。これまでの経験から、土地から共同住宅を建てる新築一棟開発投資は、非常に大きな魅力・メリットがあると強く実感しています。
しかし、「誰にでもお勧めできて」「簡単に儲かる」投資というものでは決してございません。弊社のプロジェクトではございませんが、“想像していたような利回りが実現できなかった” “着工後にトラブルが多発した”といった声をお客様から聞くことがあります。大きな魅力の詰まった新築一棟開発投資ですが、上記のような失敗に直面してしまう方も少なくありません。
そこで本記事では、土地選定後の「一棟マンションを建てるプロセス」の概要を簡単にご紹介しながら、それぞれのフェーズでのポイントをお伝えしたいと思います。新築一棟開発投資の成功に向けて、一人でも多くの方のヒントや気づきに繋がると幸いです。
1.一棟マンション(共同住宅)を建てる流れ
今回は、仮に対象となる土地(敷地)は決定した場合で考えたいと思います。
土地が決まった上で一棟マンションを建てていくには大まかに、
- 企画=何を建てるか決めるプロセス
- 設計=大まかに決めた企画を具現化していくプロセス(設計図、デザイン)
- 施工=設計を実現していくプロセス
という3つのフェーズに分かれます。
2.企画
その土地に、どのような建物が建つと、多くの人が住みたいと手を挙げ、集まってきますでしょうか?もちろんそのようなことを考えたことがない方には、なかなか想像が付きにくいかと思います。選択肢は無限にあると言っても過言ではありません。
では、どう企画していくのか?企画を決定していく過程を考えますと、「調べる」「ターゲットを絞る」「骨子を決める」というプロセスに分解できます。
まずは「調べる」ことをしていきましょう。
その土地周辺を練り歩くことで、街に対する気づきを得ることができるかもしれません。下町なのに意外と若い方も多いな、特定のジャンルに偏ったお店が集積しているな、有名なパン屋があるな…など、その気づきは多岐にわたります。特におすすめなのは、当該敷地周辺の人気のお店やスポットに行ってみることです。
調べることは、もちろん実際に周辺へ出向くことだけではございません。定量的な、その街の人口動態や最寄り路線の乗車数を見てみることも一つ手ですし、大手不動産ポータルサイトでいま募集している物件を隈なく見てみることも、学びになる場合があります。その当該地周辺だけの情報に限らず、参考にしたいと思う物件や競合物件を調べてみる・見にいってみる、という方法もあります。
次に、調べるフェーズでの学びを踏まえ、具体的な「ターゲット」を絞っていきます。
物件のコンセプトから入ってターゲットを決めていくという方法もあるかと思いますが、ここでは分かりやすく、先にターゲットを考えていきます。
ターゲットの絞り方も千差万別ですが、あまり深く考えすぎても前に進まないため、例えば以下のような切り口でターゲットを考えていきます。
- ファミリー(Dinks以上)か、単身者か
- 男性向けか、女性向けか
- 特定の趣味趣向やデザイン方向性
ターゲットを絞っていくと、自ずと企画の骨子も見えてきます。
最後の「骨子を決める」とは、特定のターゲットに対して最適と考えられる物件の概要を考えていくフェーズです。例えば、「周辺環境の学びから、Dinksを主なターゲットに」据えて、2人入居に人気な1LDK・2LDKの物件を計画。または、「犯罪の少ない安心な街から、単身女性を主なターゲットに」据えて、女性限定の全ワンルームを計画する、といった概要を決めることを指します。
上記の通り3つのフェーズをお伝えしましたが、実際のプロセスでは、「調べる」「ターゲットを絞る」「骨子を決める」をグルグルと思考を巡らせながら、方向性を決めていくことになります。
3.設計
大まかに「このような建物を作ろう・作りたい」という方向性が決まったとしても、それを実現させるための設計図はまだ手元にありません。
仮に企画者=建築士ではない場合で考える、ここからは第三者の建築士の方に具体的な「ボリュームチェック」、そして「設計図の作成」を依頼していくこととなります。
ボリュームチェックとは、「当該の敷地にどれくらいの建物が建てられるか」を確認することです。ここで私が重要だと思うことは、ただ何も考えずに、第三者の建築士の方へ「ボリュームチェックお願いします」と依頼しないことです。例えば、企画フェーズで決めた骨子の希望を伝え、その希望になるべく沿った上でボリュームチェックを実施することは、企画者と設計者の想いや認識の齟齬を防ぐ重要なコミュニケーションになります。
ボリュームチェックの作成・議論を経た上で、そこから内部プランや意匠の検討をしていき、基本設計図の作成へと進んでいくことになります。本記事では、土地から新築を進めるために重要となる「建築確認済書」の取得に至るプロセスについては割愛します。その点は後日、また別記事でご紹介したいと思います。
「ボリュームチェック」から「設計図の作成」に至る間に、もう一つ、非常に重要な検討があります。それは収支の計算です。
- 何平米のどのような間取りの部屋が何部屋できるのか
- それぞれどれくらいの賃料とするか
- 建築コストはいくらか
- ランニングコストはいくらか
等の収支を計算し、プロジェクトとして成り立つか、期待する利回りは実現するかを検討していきます。
実は、①企画と②設計、そしてこの収支計算のプロセスは、行ったり来たりして、試行錯誤を重ねていくことになります。
- 企画の骨子を決めたものの、設計フェーズにおいてそれは現実的でないことが分かり、骨子から考え直す。
- 収支計算をする過程で、骨子の良い方向が見えて、計画を抜本的に変える。
といったように、企画に立ち戻って考えることも少なくありません。むしろ、この思考の回転こそが、新築一棟開発投資を成功させる上で最重要であるといっても過言ではないと思います。
4.施工
ようやく企画の骨子〜設計図の作成まで進められたとしても、そこで終わりではありません。ここから、土地から新築一棟物件を実際に作る、”スタート”となります。
企画や設計フェーズの途中から、「どの施工会社様に依頼をするか」を考えなければなりません。設計及び施工で依頼をする場合は、どの施工会社様に建築をお願いするかを最初に考え始めなければならないケースも多いです。
どうやって施工会社様を選定するか?検討の軸としましては、例えば以下が挙げられます。
- 計画の建物規模や用途が得意な施工会社様か
- 豊富な実績があるか
- リーズナブルに施工できるか
- 企業情報データベースの評点は高いか
- 銀行審査を通過できるか
特に最近は、建設業者の倒産が増加していることを背景に、「銀行審査を通過できるか」という観点も重要になっております。施工費の安さばかりに気を取られてしまい、最後の最後に銀行審査を通過できず、プロジェクトが頓挫してしまうケースもあります。
もちろん施工会社の選定だけでなく、無事に着工(工事開始)した後も、オーナー側が気をつけて見なければならい事が沢山ございます。その詳細な注意点は、また別の機会でご紹介いたします。
5.最後に
やや概念的な説明が多くなってしまいましたが、本記事の途中でも記載した通り、「企画」「設計」「施工」というプロセスは必ずしも一方向ではなく、場合によって、「企画」に立ち戻って考えることが重要です。特に「企画」と「設計」のフェーズにおいて、何度も思考を巡らせブラッシュアップさせていくことは、土地から新築一棟を建て高利回り物件を手にするための、重要なプロセスとなります。
東京レーベルは、この思考の巡りを、主に土地仕入れのメンバーと建築コンサルに携わるメンバーが日々連携しながら行なっています。本記事に書ききれなかった施工フェーズの注意点も含め、新築一棟開発投資を成功させる道のりは平坦ではありません。しかし、平坦な道のりではないからこそ、土地から新築一棟を建てるメリットは大きく、高利回りを実現できると考えております。
弊社ではそうした日々の検討を経た、新築一棟開発投資の具体的な案件(土地+企画)をご紹介しております。もちろん、資金調達〜設計・施工フェーズにおいても、過去の経験を踏まえて全面的にサポートしております。お気軽にお問い合わせください。
小栗 隆史
一橋大学大学院卒業後、(株)電通にて大手自動車企業等を担当。その後、(株)オープンハウスの社長室において中期経営計画の策定や、米国不動産事業の立ち上げに従事後、東京レーベルを創業。
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